風邪は病気ではなく、風邪そのものが治療行為
風邪は病気ではなく、風邪そのものが治療行為である。
野口晴哉先生が書いた本「風邪の効用」では、「風邪は自然の健康法である」と記されています。
「風邪をひくことは身体に必要なことで、風邪は治すべきものではない、経過するものだ」と。
「自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になる」とも言われています。
野口先生は「風邪を途中で中断させてはいけない」と言います。
中断させるというのは、薬を飲んで症状をおさえることです。
とくに風邪の際に熱が出るのを抑え込んではいけない。
一般的に熱が出ると「薬を飲んで下げようとする」「後頭部に冷たいタオル」などをして対処すると思われます。
ところが野口整体の考えでは、上記のような対処は絶対にしてはいけない!!
そんなことをしたら生命力を逆に弱めてしまう。
冷やすと、身体が一生懸命に体内のウイルスや又は何らかの菌を煮沸消毒して良い方向へ生まれ変わろう(蛇が脱皮するように新鮮な体になる)としている作業を強制終了させ、無理やりに病状を身体の中に閉じ込める結果になります。
するとその抑え込んだ病状は、形を変えて、必ず再度やってきます。しかも、もっと酷い病気に成長して、本人を苦しめることになります。心の場合もそうですが、抑圧された感情などは抑圧すると、その抑えこんだ反動で表面に浮き上がってきます。
身体にとって冷やすということは身体の循環機能を低下させ、鈍らせたり麻痺させることになるので、本当に注意が必要です。
どうして熱が出るのでしょうか?
〇身体が免疫力を高め、体内に侵入してきたウイルス、又は何らかの菌を煮沸消毒している働き
〇骨格の歪みを整え、筋肉の硬直を弛めることを目的とする働き
繰り返しになりますが、野口先生は「上手に風邪をひく(経過させる)と、
様々な身体の歪みが解消されて元気になるので、風邪をうまく利用して健康になりましょう。」と言われています。
また日本人の表現は奥深く面白いもので、コロナウィルスなどは罹ると言いますが、風邪はひくと表現しますよね。
風邪をひくと「様々な身体の歪みが解消され」、「元気になる」ことを昔の日本人は知恵として学んでいて継承していたのだと思います。
そして、ココが大切なところ。風邪をひいたら自然に体が整体をしている。
もう一度、野口先生の言葉を引用します。
「自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になる」。
これでタイトルの風邪は病気ではなく、風邪そのものが治療行為である。ということを理解できたのではないでしょうか。
名著、風邪の効用を一部引用します。
健康な体というのは弾力があり伸び縮みに幅がある。
風邪を引くと、鈍い体が一応弾力を回復し緊張した疲労箇所が緩み弾力が回復していく。
例えば、血圧の高い人は、血圧が低くなる。血圧が低くなるといういうより血管に弾力性が生まれる。
血管の弾力性だけではなく、人間の体中、また心含めた人間全体の弾力性が失われないような生活にすれば突然倒れるとかという事はないわけです。もし硬くなっても風邪をひくと治ってしまう。
人間はだんだん弾力を失っては死ぬ。
風邪は経過するもの
頭を使いすぎて頭が疲れても風邪を引く。消化器系に余分な負担をかけても風邪を引く。
腎臓のはたらきを余分にした後でも風邪を引く。しょっちゅう心配している人は神経系統の風邪を引く。
風邪を経過した後は、弾力のあるピッチリした体になる。
風邪は病気ではなく、風邪自体が治療行為である。
風邪をひいただけ体は丈夫になる。
風邪を引けば癌も治る
風邪をきっちり治せれば千の病気に対処する力がある。
いや、風邪を上手に経過させることができれば、まず難病を治せるといってもいい。癌が難しいといっても、風邪の難しさとは比べ物にはならない。
癌などでも風邪を引けば治ってくる。
野口晴哉著 風邪の効用より引用
私のクライアントから聴いた話ですが、最近は病院の医者も、薬をなるべく出さない方針の医師も増えてきたとのこと。
そうそう。私も6人目の子どもを授かりまして、色々とワクチンのことや予防接種のことを調べています。
そんな中で出会った印象に残った本の著書でもある
小児科の山田先生は「ふつうの風邪に薬はいらない」と言っています。
山田先生は「子どもに薬を飲ませる前に読む本」という本を書かれています。
その本の一部を引用してみます。
せきにしろ、頭痛にしろ、とてもつらそうだったら薬を与えることもやむを得ませんが、頭痛にはいくらか効果があるものの、せきや鼻水に対しては薬もあまり効かないのです。
薬を飲まないで、水分は十分にとってからだを休め、かぜが通り過ぎるのを辛抱強く待つというのが、かぜに対する最良の治療法といえるでしょう。
「子どもに薬を飲ませる前に読む本」山田真著
体の弾力
「弾力」という表現が風邪の効用では何度も出てきます。
子ども食堂などで、赤ちゃんや子ども達を眺めていると、心身ともに弾力があるなぁと感心します。
健康な人間の体には弾力があって、年をとっていくとその弾力の幅が狭まっていきます。
わかりやすい例として血管の話。血管が硬張っていくと、血液の流れがスムーズでなくなっていく。
その結果、脳溢血が起こりやすくなる。最終的に死を迎える時に人間の体は完全に硬直します(死後硬直)
ところで日々、色々な活動している私たちは体を使って活動しています。
それが、長年の姿勢の癖など含めて、どこかに負担が集中すると、その部分に偏り疲労が蓄積し、風邪を引くことになります。
さて、風邪は本当に治療すべきものなのでしょうか。薬を飲めば治ったように思い込んでいます。
でも薬というのは、症状を抑えているだけ。実際のところは、体を治そうとしながら、体を硬直させ鈍くさせてしまっているのです。
風邪は弾力性を回復させる機会になります。
『風邪の効用』p42
温めるということ
整体では冷やさない方法など冷えに関する対策などがあります(足湯、温湿布など)
なぜなら体を弛めるには、とにかく体を冷やさず温めることが大切だからです。
そして風邪の効用の本の帯にも書かれているように、整体では「常識を疑え」というくらい
今まで当たり前だと思い込んできた対処法は何だったんだ…と、目から鱗が落ちるような新鮮さを感じることもあるでしょう。
たとえば
「風邪を引いたら冷えるから、風呂に入らないほうがいい」
これも常識だと思い込んでいる方々が多いのではないでしょうか。
野口先生はこう言っています。
風邪を引いた時にこそ大いに風呂に入らなければならない。
『風邪の効用』p57
入浴というのは、お湯の温度によって皮膚を刺激して体の働きを高めます。体が温まるので汗も出ます。
ちなみに温まっているかどうかは皮膚が赤くなっているかどうかを見ます。
もし、まだら模様や、一部が赤くなっていなければ、そこを追加で温めて弛める。
足湯も整体では、とても大切な冷えに対処する方法です。