「水分をとりすぎると体が冷えるの?」
前回の記事「かくれ水分不足」に対して色々な方からメッセージや質問などを頂きました。
そのなかで一番多い質問は
「水分をとりすぎると体が冷えるのでは?」 でした。
また東洋医学などを学ばれている方々からは水毒の症状についてでした。
それから心療内科などに通院している方々からは
「水分をとりすぎると体調が悪くなる」
このように十人十色な症状の方々からメッセージを頂きました。
できるだけ、簡潔にわかりやすく、これらの件について書いてみたいと思います。
東洋医学について(水毒)
東洋医学、特に漢方では、体に余分な水分がたまると体が冷えると考えます。
漢方では、この余分な水分が体にたまっている状態を 「水毒」 といいます。
意外かもしれませんが、この水毒症状を起こしている体というのは、実は水分が足りていないからこそ起こる状態なのです。
どういう理由かといいますと、体というのは水分が足りなくなってくると、体内の水分を惜しんで捨てなくなります。
かくれ水分不足の記事でも書きましたが不景気な銀行が貸し渋りするように、体が水分を出し渋りするのです。
その結果、体がむくむことになるのですが、当然このむくんだ状態というのは、水分が足りていて潤っている状態とは違うのは明らかです。
洗濯物を乾かすように人間の体はカラッと乾くように出来てないわけです。
酒の肴の干物でもあるまいし、そのような状態にならないように体は水分を出し渋っていく。
それが、むくみです。
漢方でいうのは、この水分が足りないためにむくんでいる状態。それが「水毒」 の症状なのです。 つまり、「余分な水分」 がたまっている状態です。潤っているというのは、体の水分が十分に足りていて、しかも水分代謝が正常におこなわれている状態です。
これは、「余分な水分」ではありません。
それに対して水毒の状態というのは、体に水分が足りないという状態が前提にあって、そのために捨てるべき水分を捨てないでいる水分代謝の低下した状態です。
捨てるべき水分を捨てないのですから、水は澱んで「水毒」となります。
そして一番大切なことは水毒症状を起こす体そのものが、すでに体が冷えている状態であって、水分を摂ったから冷えているわけではありません。人間の体は、冷えると背骨のあちこちが捻れてきます。 そして、体が捻れると、同時に泌尿器(腎臓など)の働きが悪くなります。
入浴後に腰椎の左側などを見ると温まらない箇所(赤くなっていない)がある方々は泌尿器の働きが低下しています。
泌尿器の働きが悪くなると、水分代謝が悪くなり、捨てるべき水分を捨てることができなくなり体はむくんできます。
むくみも、いわゆる水毒症状の特徴の一つです。
つまり、水分をとりすぎると体が冷えるのではなく、体が冷えて泌尿器(腎臓など)の働きが悪くなるために水毒症状が起きるということです。
〇 冷える → 泌尿器の働きが低下 → 水毒症状
× 水分を多く摂る → 水毒症状 → 冷える
だからこそ冷え対策が整体の基本なのです。ですから冷えに関する記事を読みなおすことをオススメしています。たかが入浴と思うかもしれませんが、入浴や足湯・脚湯などの効果は絶大です。
冷えの対策として、「足湯」・「脚湯」などをおこない、真向法体操などをしていけば、体の捻れも解消し泌尿器(腎臓など)の働きもよくなっていきます。
それでも、冷え性や頻尿、むくみなどがおさまらなければ、整体で調整できます。
その上で水をこまめに飲んでいけば、水毒症状を起こすことはありません。
ただし、ジュースなどの甘くて冷たい飲み物は、飲み過ぎてはいけません。ジュースは飲み過ぎると、それこそ水毒症状を起こします。単純に水分の量ということでは、どちらも 「多い」 状態といえるのかもしれませんが、潤っていることとむくんでいることは、体の状態としては全く違います。
上手に水分を摂取していると、体は潤いこそすれ、むくむことはありません。 つまり、水毒症状を起こすこともなく、「冷え」 にも強くなります。水を飲むその飲み方に、ちょっとしたコツがあるだけです。 効果のほどは、ご自身の体で実感していただくのが一番だと思います。ぜひ、試してみてください。
水中毒の「症状」について医者が監修して書いている記事があります。水中毒になってしまう「原因」に書かれている精神疾患の病態の症状は参考になりましたので紹介させて頂きます。
ただ一言付け加えておくと冷えることで泌尿器の働きが低下することの視点が抜け落ちています。